変形性股関節症のこと

変形性股関節のこと Vol.9(「ドルフィン」を使ってみた)

ドルフィン(電気鍼治療機器)を使ってみた

変形性股関節のこと Vol.9(「ドルフィン」を使ってみた)

今回のブログはこれまでの「変形性股関節症 Vol.1~8」の続きになります。
「変形性股関節のこと」シリーズVol.1はこちら
前回の記事「変形性股関節のこと Vol.8」はこちら

電気鍼治療機器「ドルフィン」登場


雅代メソッドの豊富なラインナップの多さに衝撃を受けていた私に、ようやく電気鍼治療機器「ドルフィン」の説明が始まりました。
「ドルフィン」はボールペンをずーっと太くしたような形状で、電気の強さが調節でき、ペンのように体に当てて治療する機器です。通常2本1組のセットで使います。


「ドルフィン」を全身の患部に当てて、神経への刺激を行うことで、病気を治していくという治療法で、ドルフィンが出している周波数は、5Hzで人間の出している「気」と同じだそうです。
ドルフィンは人工的に「気」を生み出して体に流すことができる機器で、人間の出す周波数と同じなので、安全に使用できるところがポイントだということでした。


「ドルフィン」というネーミングは、体に当てると「キュー」というイルカの鳴き声に似た音が響くことからきているようです。
ドルフィンは血流がよい場所や特に問題のない場所に当てると、あまり音が響かず、血流が悪かったり、不調のある場所や、正しいツボを捉えると、「キュキュキュキューッ」と高らかに鳴ります。

「ドルフィン」の効能


ドルフィンの効能として、「自律神経のバランスの回復」、「傷による『気の流れ』の障害からの回復」、「大腰筋の活性化」などの説明を受けました。捉えやすいような捉えにくいような効能ですが、1つずつ考えていこうと思います。

「自律神経のバランスの回復」


まず、一番イメージしやすいのは「自律神経のバランスの回復」ではないかと思います。ここでは細かくは取り上げませんが、自律神経というのは、私たちが意識をすることなく、呼吸や循環、消化といった生命活動を調整してくれている神経で、交感神経と副交感神経があります。リラックスしている時、食後などは副交感神経が高まり、消化活動などを盛んにしてくれます。一方、起きて活動している時、緊張している時は交感神経が高まり、呼吸、循環系が盛んとなり、汗をかき、消化管の活動は低下します。交感神経は、戦う時の人の状態をイメージしていただくとわかりやすいです。
実際は、この交感神経と副交感神経どちらかが働くのではなく、シーソーのようにバランスをとっています。


意識せずに、24時間無休で私たちの体のバランスをとってくれている自律神経は、精神的・肉体的なストレスを受けてバランスを崩しがちです。
自律神経が乱れると、実に様々な不調をきたします。
「慢性的な疲労、だるさ、めまい、片頭痛、動悸、ほてり、不眠、便秘、下痢、微熱、耳鳴り、手足のしびれ、口やのどの不快感、頻尿、残尿感」などの体の不調から、「イライラ、不安感、落ち込み、やる気が出ない、憂鬱、感情の起伏が激しい、焦りを感じる」などの精神的な不調まで実に多くの症状を出します。


医師から「自律神経失調症」と言われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこのような症状がある方の中で、西洋医学での検査を行っても正常で、原因がはっきりしないものを「自律神経失調症」と言うことが多いです。
また、年齢によっては「更年期障害」と言ったりもします。


原因となるストレスを取り除くことはもちろん重要ですが(自分だけの問題でないことが多いので、なかなか難しいです。)、睡眠の確保、食事の見直し、運動の習慣など生活習慣の改善もとても重要です。
しかし、それだけでは整わないことも多いのですが、実は「自律神経失調症」は西洋医学が比較的苦手な分野でもあります。
東洋医学では、「自律神経失調症」に対する漢方薬や鍼灸は治療方法が揃っていて、比較的得意な分野です。


体質や体の状態、症状から判断して漢方薬を使っていきますが、漢方薬を決定する上で、「気」はとても重要視します。
同じく、「ドルフィン」も気の流れを調整して自律神経のバランスを改善してくれることを考えると、自律神経を整えるのに「気」の流れが重要なのだということが再確認できます。

「傷による『気の流れ』の障害からの回復」


これは私にとっても全く新しい考え方だったのですが、怪我や手術により体についた傷口というのは、体の中を流れている「気」の流れを止める障害物になってしまうというのです。イメージとしては、川の途中にできたダムが水の流れを堰き止めてしまう感じです。
「気」の巡りが悪くなることにより、その結果自律神経のバランスも崩れやすくなります。


「ドルフィン」を用いて、傷の周りを特に重点的に治療を行うことで、傷によって遮断された気の流れを橋でつなぐように再接続し、「気」を全身に滞りなく流れるようにするようです。私には左の膝に大学時代に受けた前十字靭帯再建術の傷あとがあります。傷あと付近をドルフィンで治療すると、他の部位より痛みじは強く感じたのですが、効果としてはあまり大きな変化は感じなかったように思います。
もしかしたら、縦の綺麗な傷だったので、あまり気の流れが分断されていなかったのかもしれませんし、実は体に良い影響を与えてくれていたかもしれません。

「大腰筋の活性化」


実は「大腰筋」は医学部時代の解剖学で学んだ程度で、その後はほとんど耳にすることがありませんでした。
腸腰筋の方が有名でしょうか。腸腰筋というのは、腸骨筋と大腰筋、小腰筋の総称です。よく「インナーマッスル」を鍛えるなどの話に登場するかと思います。
雅代メソッドには「大腰筋」の活性化を目指すアプローチ方法がいくつかあります。「ドルフィン」もそのうちの1つです。
なぜ「大腰筋」がそれほど大切なのでしょうか。

大腰筋


図のように、「大腰筋」は脊椎(背骨)から大腿骨の小転子と呼ばれる股関節の内側の部分まで長く伸びて、体全体を支える重要な筋肉なのです。
この「大腰筋」が硬く収縮すると、イメージとしては背骨は前に引っ張られ、反り腰の原因となり、腰痛や歩行障害の原因にもなります。また逆に「大腰筋」がゆるんでしまうと、イメージとしては背骨を正しく前方へ引っ張る力が足りず、だらりと後ろに彎曲ことで、猫背になり、下腹が出てきます。これもまた、体中の痛みやこりの原因になることもあります。


こんなに大きく大切な筋肉ですが、正直これまで着目したことはありませんでした。股関節の痛みがある私にとっては特に、「大腰筋」は重要な筋肉のように感じました。今後の私のテーマの中に「弛緩」と合わせて「大腰筋」も加えました。


実際に「ドルフィン」を使用してみると、私にはとっても痛く感じました。痛い場所は血流が悪かったり、気の流れが悪かったり、不調のある場所だと聞いていたので、そういう場所が多いことがわかりました。まだまだ改善の余地がありそうです。
セミナーでは2人1組で施術を行ったのですが、「痛みがある=効果がある」ということで、刺激を強めに施術をし合っていたのですが、私はどうしても「痛み」は「緊張」を生むような気がして、「少し痛いかも」くらいの心地良い刺激で施術をした方が自分にあっていると感じました。


私自身の「ドルフィン」を使用した感想としては、効果を感じる場所と、あまり感じにくい場所とがありました。まず、傷口に関しては今回のブログでも書きましたが、あまり変化を感じませんでした。(やり方や頻度が悪かったのかもしれません。変化を感じにくいと毎日やることを忘れてしまいます。)
股関節に関してもあまり変化を感じませんでした。


腰痛と肩こりは改善したように思います。
個人的に「ドルフィン」を重宝しているのは、頭皮です。
1日根をつめて仕事をした時や、パソコン作業が続いた時は、どうしても頭全体が電気を帯びているような感覚になります。
その時に、頭に「ドルフィン」を使うとかなり楽になります。電気を抜いてくれるイメージです。(実際はわかりません。あくまでも体感をもとにしたイメージです。)
今では「ドルフィン」を主に首から上に使っています。


また、先日首が寝違えたようになり、動きが悪くなりました。数日経って悪化していくので、ドルフィンを使ってみたら、改善していきました。
困った痛みをとってくれると、その機器に対する信頼度がぐっと増します。
下半身ももっと上手に「ドルフィン」を使っていってあげたいなぁと思っています。今後、使用方法を自分なりに工夫してみたいと思います。


私は「ドルフィン」をみなさんに強く勧めたいという思いでブログに書いているわけではありません。「ドルフィン」が体に合って、有用だと感じる人もいれば、そうでないと感じる人もいると思います。
大事なのは、「ドルフィン」がどういう面に効果があるかを学ぶことによって、自分自身の日常生活の中で、気をつける点が明確になっていくことだと思います。


例えば、「自律神経」が大切なことがわかれば自律神経を整える方法をなんでも良いので試してみたり、「大腰筋」という筋肉を意識して、自分の姿勢を鏡で見て、大腰筋が硬くなっているのか、緩くなっているのかなどを確認してみたり、自分が健康になっていくためのヒントにしていくのが良いのではと思っています。
私自身、新しい方法に出会った時、たとえ自分に効果がなかったとしても、多くの人で効果を得ている方法であるとしたら、その概念自体は良いことが多いので、概念を取り入れてみることを意識しています。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今回は、雅代メソッドの1つ「ドルフィン」についてのお話でした。
なかなか、日常の診療では出会うことがないような治療法に出会えた時は、少し興奮してしまいます。まだまだ、この地球上には自分の知らない治療法がたくさんあると思うと、まだまだ希望もたくさん持てると感じます。次回は、雅代メソッドの中で私の人生を変えたとも言うべき「エゴスキュー」という運動療法をご紹介しようと思います。ぜひご覧ください。よろしくお願いいたします。


にほんブログ村に登録しています。ランキング形式になっています。
多くの方に読んでいただけたら嬉しいので、
もしよければ、この下のバナーをクリックお願いします!
(クリックすると、にほんブログ村のサイトへアクセスします。)
にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

ABOUT ME
Dr.K
都内在住の30代女性。 内科医として、西洋医学・東洋医学を学び、現在都内で勤務医をしています。 自身が幼少期から気管支喘息、アレルギー体質であり、また大学時代の左前十字靭帯断裂後手術を受け、そして現在、変形性股関節症と向き合っています。 このブログでは、私自身が抱える健康問題に関して、西洋医学・東洋医学・代替療法・民間療法・スピリチュアル的なアプローチなど、興味が湧き、自分で納得したものを取り入れ、その結果をシェアしていきたいと思います。ゆくゆくはHolistic(ホリスティック)医学(=人間をまるごと全体的にみる医学)を提供できる医師を目指しています。